『――公爵家では面倒みきれん! こんな我がまま言う子はもう知りません。今日から王室の子になりなさい!!』

 親が駄々をこねる子どもを叱るときの口調だった。キャロルがしゅんと反省すると、その間に、兄は公爵家からキャロルの私物を運んで来てしまった。

「心配する必要はないよ。引っ越しが少し早まっただけだ」

 レオンは口をつけたカップを置いて、写真立てや青い眼の人形で飾られた部屋を見回した。

「十二夜が終わったら、君は正式な王太子妃として、ここに住むんだから」
「まだ、王太子妃になるとは決まっておりませんわ。十二夜が終わるまで、わたくしは妃候補です」