素直に従ったキャロルは、昇降口から飛び降りると、すかさずスカートをつまんでお辞儀をした。

「はじめまして、山賊さまがた。わたくしはキャロル・シザーリオと申します。シザーリオ公爵家の令嬢で、十六才になりました。趣味は田舎暮らしを空想すること、特技は人の顔と名前を覚えることです。身長や靴のサイズもお教えした方が良いでしょうか?」

 にこやかに挨拶されたので、強面の山賊たちは面食らった。

「なんだこの女」
「急に自己紹介をはじめたぞ」
「貴族ってみんなこうなのか」

「わたくし、お友達を作るのが大得意ですの。せっかく知り合えたのですもの。どうぞ仲良くしてくださいませ」
「ひえっ、こっちに来るな!」