そういう訳で、キャロルは王太子妃になったら自分が使うはずだった部屋に、閉じ込められてしまったのである。

「廊下側に鍵が取り付けられているから、内側からは開けられませんわね……」

 ふかふかのソファに座って、持ち帰ったクレープを食べながら、キャロルは休憩していた。
 どうにか脱出できないかと辺りを一通り調べたので、昼食前にお腹が空いてしまったのである。

「支度部屋の方にも鍵がかかっていましたし、窓は10センチほどしか開かないように仕掛けが施されていますわ。バルコニーへ出るガラス戸も、強力な接着剤で固定されていました。きっとお兄様の入れ知恵ですわね」