キャロルは良い案だと思ったが、セバスティアンは渋面をつくった。

「ふざけるな。王太子に差し出された薔薇を受け取らないなどと、不敬にもほどがある」
「不敬にならないように計らいます。ようは、レオン様から薔薇を差し出されなければいいのです」
「はぁ? どうやって??」
「レオン様に見つからないように、どこかに身を隠しますわ!」

 キャロルは、夜のうちに準備してもらった籐のバスケットを持ち上げた。

「それでは、お兄様ごきげんよう!!」
「待てこら、逃げるなキャロルーーーーーー!!!」