「キャロル、お前はいつでもどこでもドタバタと……。明日には王太子妃になるのだから、もう少しつつしみを持て」
「つつしみが足りなくても大丈夫ですわ、セバスお兄様! レオン様には他に好きな方がいらっしゃるようなので、妃の座はその方にお譲りすることにしましたの」
「は? あいつに恋人なんかいるわけないだろう。お前一筋のお前馬鹿だぞ?」

 セバスのただでさえ険しい顔つきが、眉間のしわで凶悪になる。
 王太子のことを何も分かってないな……と、キャロルは鼻を高くした。

「レオン様の親友であるお兄様も知らないとは! よほど大切になさっているのでしょうね。気づけてよかったですわ。今朝、いきなり数字が見えるようになったときは、どうしようかと思いましたけれど。きっと、レオン様を幸せにするために行動しなさいと、神様が力を宿してくださったにちがいありません!」
「数字ってなんのことだ」
「お兄様は……」