レオンは困った風に眉を下げた。キャロルの耳は、重い溜め息の音を拾い上げる。

「どうかなさいまして?」
「なんでもないよ。工事が終わったみたいだ。また少し歩くね」

 キャロルは再び抱きかかえられた。目は閉じたままだったが、びゅうと肌をなでた夜風が止んだので、どこかの建物に入ったようだ。
 いよいよ、お披露目会場にたどり着いたらしい。

(城内にしては、遠い道のりだったような……?)

「――さあ、着いたよ」

 柔らかな絨毯のうえに立たされたキャロルは、そうっと目蓋を開けて驚いた。

「これは、どういうことですのーーー?」