「君は、無条件に俺のことを信じてくれるよね。それなのに、急に婚約破棄しようと思ったのはなぜ?」
「レオン様のお幸せのためですわ。わたくし、レオン様には一番大好きな方と結婚していただきたいのです」
「……君の他に、そういう人がいると思ったの?」
「思ったのではなく、分かりましたの」

 人は嘘をつくものだが、「好き」の回数は嘘をつけない。
 レオンが情熱を持って誰かを愛していなければ、カンストするはずがなかった。

「どうしてそんな発想に……。いや、愛されているからこそこうなった、と言うべきなのかな……」