レオンは、キャロルと向き合って、愛おしげに見下ろした。

「愛されているのは当たり前ではないんだ。お互いが心を尽くして伝え合っていかないと、どこかで取り返しがつかないすれ違いが起こる。キャロルが俺の『好き』と言った回数を見て、自分への愛ではないと誤解してしまったようにね」

 王太子らしくかしこまっていないで、もっと大っぴらに伝えるべきだったのだ。
 試練を乗りこえて結ばれた今、二度と同じ過ちは繰り返さない。

「キャロル、愛を伝えてもいいかな?」
「はい。わたくし、レオン様からの愛でしたら、いつでも大歓迎ですわ――っ!?」

 レオンは、可憐な花を摘み取るようにキャロルの唇を奪った。
 おどろいて肩を跳ねさせたキャロルは、きゅうっと体をちぢめてキスを受け入れる。

 体の一部を触れ合わせているだけなのに、全力で走ったときみたいに心臓がドキドキする。
 胸の奥に大事にしまったキャロルの心は、きゅんきゅんと痛いくらいにうずいた。