キャロルは、レオンをともなって黒霧の森の近くにある教会を訪れた。

「久しぶりに来たよ。キャロルの無事を祈るために通っていた頃と変わらないね」

 レオンは、懐かしそうに石造りの教会を見回した。
 古いベンチが並べられた奥に解毒の泉が湧きあがり、人気のない聖堂にはせせらぎの音が反響している。
 二人は、手を取り合ってベンチを間を進み、清らかな泉を近くでながめた。

「ここでレオン様は、生死の境をさまよっていたわたくしのために、祈りを捧げてくださったのですね」

 石版に刻まれた祈りの言葉、ひとつひとつに、キャロルへの愛情を込めて。
 レオンの「好き」と言った回数がカンストしている原因は、ここにあった。

「ありがとうございました、レオン様。わたくし、知らないところでたくさんの愛をいただいていたのですね」