「もう昼か……。すっかり寝ぼうしてしまった」
「仕事は休ませてもらっているんだろう。もう少し寝ていてもいいぐらいだぞ、お前は。国王を説き伏せるために、ほぼ眠らずに一月過ごしていたんだからな」
「ここ一月は眠くなかったんだよ。十二夜の中止をくつがえせるかのプレッシャーもあってね……。再開の許しを得て、気が抜けてしまった」

 パーティーがお開きになったあと、キャロルを自室に送り届けたレオンは、客間に入るなりベッドに倒れた。
 それから五時間は眠れたので、久しぶりに体調がいい。

 セバスティアンは、椅子をレオンに勧めた。

「パンとジャムくらいしか用意できんが、食べるか?」
「俺の食事はいいよ。紅茶を淹れたいんだけど、ポットと茶葉を借りてもいいかな? 起き抜けのキャロルに持って行ってあげたいんだ」
「天下の王太子が、妃に尽くしてどうする……」
「悪いことではないだろう。キャロルと晴れて結婚できたら、やろうと思っていたんだ」