「……お兄様、ワンちゃんと結婚なさるの?」
「バカなことを言うな。これはペット犬のカタログだ。レオンのところにいるパトリックが賢くて愛らしくてな。我が家でも犬を飼おうかと思って取り寄せた」
「そうでしたのね……」

 シザーリオ公爵家に新たに迎えるのは、結婚相手ではなく犬か。
 残念そうなキャロルを見て、セバスティアンはアルバムを閉じた。
 キャロルのことだから、犬を飼うと告げたら大喜びすると思っていたのに。

「お前は猫派か? それとも鳥か?」
「??? どの動物も好きですわ」
「そうか……とりあえず犬を飼うのはやめる。レオンは元気だったか?」
「はい! ご覧ください、この花冠。レオン様とわたくしで、お花の国の王子様お姫様になったのですわ」

 キャロルから話を聞いているうちに、マルヴォーリオがアルバムを片付けて、この一件は解決したが。
 後日、レオンから話を聞いたセバスティアンが、死ぬほど不機嫌になったのは言うまでもない。