セバスティアンは、目の下のクマがちょっと酷いが顔立ちは整っているし、背も高めで頭も切れる。少し口うるさいが、モテないはずがない。
 実際、薔薇庭園で開かれたお茶会では、名家の令嬢たちが父親を急き立ててセバスティアンに紹介してもらっていた。

「わたくしが王家に輿入れしたら、シザーリオ公爵家の血筋はお兄様ひとり。公爵邸のお部屋だってスカスカになってしまいます。お兄様が身を固めて、赤ちゃんの一人でももうけてくだされば、わたくしも安心して王太子妃になれますわ! それがいいわ、そうしましょう!!」

 キャロルは、キラキラと瞳を光らせて、ケーキの苺にフォークを突き立てた。

「午後の授業はお休みします。わたくし、お兄様の結婚相手を探すために、レオン様にご相談にあがりますわ!」

 キャロルは、ケーキを平らげるなり支度をして、王城へと向かった。