周囲の景色が見えやすくなった。闇が引き始めたのだ。

 レオンは白んでいく空を睨んだ。
 そろそろ、貨物船への積み荷が始まる頃合いだ。

 夜が明けて、船が出航したら、キャロルは――。

 ワン! 愛犬の声が道の先からして我に返る。

 輝く海面が見える峠の向こうから、パトリックが猛進してきた。
 レオンは、馬を下りて彼を抱きとめる。