鉄格子のはまった牢屋で、セバスティアンは山賊を水責めにしていた。
 水をはった桶に顔をつけ、気を失うギリギリで解放する拷問を、もう何度も繰り返している。

「さあ、吐け! お前らが窃盗団を引き入れ、潜伏先に安ホテルを都合したと調べはついているんだ!!」

 キャロルが見たら卒倒しそうな光景を、レオンは壁に背をつけて見守っていた。
 山賊のリーダーである無精髭を生やした小汚い男は、桶から顔を出すなり咳きこんで水を吐きだす。

「げほげほっ! わかった言う! だから許してくれ!」
「だそうだ、レオン」
「そうだな……。まずは貴殿らが目をかけてやった窃盗団について知りたい」

「王家の宝飾品ばかりを狙って盗んでいる連中だ。頭領は褐色肌の美しい女で、占い師のフリして王族に取り入り、大胆に城に潜入して盗むのがお決まりなのよ。最近じゃあ、価値があがった魔晶石を求めて国を移動してる」