元気よく鳴いて、パトリックは小屋を飛び出た。
 賊が騒ぐ音が聞こえたが、無事に逃げおおせたようだ。

 まんまと逃げられたニナは、ツバを飛ばして激昂する。

「アンタ、なに勝手なことしてんだい!」
「わたくしさえ残れば問題ありませんでしょう? シザーリオ公爵家の令嬢として、ニセの犯人役、心してお受け致しますわ」

 キャロルは短刀を投げ捨てて、豪華なドレスを着ているかのように優雅に立ち上がった。

「わたくし、お友達を作るのが大得意ですの。せっかくお近づきになれたのですもの。海の底に沈むまで、どうぞ仲良くしてやってくださいませ」