大好きな人から『∞』の愛を与えられていた。
 幸せな人生だった。もう、思い残すことなんてない。

「なにブツブツ言ってんだい」
「お待ちを。今、切りますから」

 キャロルは、ひと思いに短刀を振り下ろした。
 パトリックの口を封じていた口輪のベルトに向けて。

 ザクッとベルトが切れた瞬間、その背を強く押す。

「レオン様の元へお行きなさい!」