「――レオン様」

 十二夜の夢を見ていたキャロルは、暗い小屋で起き上がった。
 ロープの山にもたれかかっていたせいで背中が痛い。膝が重いと思ったら、口輪を嵌められたパトリックが頭をのせて眠っていた。

 周囲には、ガラスでできた浮き球や、錆びて朽ちかけたイカリが雑然と置かれている。室内に照明はないが、やせた壁板の隙間から入るわずかな外光でかろうじて辺りが見える。

「……ここは……」
「やっと起きたのかい」

 入り口にかけてあった布を端によせて、ニナが顔を見せた。
 ジレとズボンを着て、頭には布を巻いた海賊のような格好は、褐色の肌と美しい顔だちによく似合っていた。足音に気づいて、パトリックも目蓋を開ける。