「ここはキャロルの部屋なんだよ。別の人間が王太子妃になるときは改装するのだから心配しなくていい。お茶の支度をととのえさせているから、座って?」
「はい……」

 不本意に思いながらもソファに座る。
 窓を背にした一人掛けの椅子にレオンが座ると、ほどなくしてお盆を持った若い侍女達が入室してきた。

 運ばれてくるのは、ティーポットやカップ。他には、クリームをのせたケーキに、焼きたてのタルトタタン、クッキーにチョコレートなどなどなど、どれもキャロルが大好きなお菓子ばかりだった。