『素晴らしいよ、キャロル。君のおかげで宝物庫から宝石を盗み出した犯人を捕まえられた。これからは、セバスティアンではなく、キャロルをいちばんに頼るね』

「――セバスお兄様に負けてはいられませんわ」

 紅茶をグビッと飲み干したキャロルは、ナフキンをざっくり畳んで立ち上がった。

「わたくしなりに、犯人の手がかりを見つけて、レオン様にご報告申し上げます!」

 駆け足で自室に戻り、散歩用のデイドレスに着替えたキャロルは、庭の端にある犬小屋に向かった。

「パトリック、力を貸してくださいな」

 クッションにもたれて、うとうとしていたパトリックは、キャロルの顔を見るなり真っ黒な目を輝かせて立ち上がった。