縄は、花壇で使われている粗い目のもの。恐らく、セバスティアンが見かけた庭師から借りて、そのまま縛り付けたのだろう。
 キャロルの肌が傷ついていないか、ちょっとだけ心配になる。

「そうでした。セバスお兄様ったら、王太子に怪我をさせた責任をとろうとするわたくしを、グルグル巻きに縛り上げてしまわれたのですわ。縄を外してくださいませ、レオン様。シザーリオ公爵令嬢として、覚悟はできておりますから!」
「だーめ」

 レオンは、興奮して赤く染まったキャロルの鼻を、ちょんと指先で押した。

「キャロルが死んじゃったら、俺は生きていけないよ。責任をとるのは自由だけど、自分の体や心を痛めつけない方法にして」
「はい……。どうやってお詫びすればよろしいでしょうか?」

 潤んだ瞳で問いかけられて、レオンの悪戯心がうずいた。
 縄で動けない、この状況。くすぐったら、可愛い反応が見られる気が――。