「次は、犯人の侵入経路についての報告だ。騎士から情報をもぎとってきた」

 セバスティアンは、城の見取り図を広げた。
 黒で描かれた間取りに、赤いインクで線と矢印が入れられている。

「宝飾室につながっていた隠し通路は、王もしくは王妃が王冠を持ち出す際に使用するものだ。他の裏通路とは通じていない。石造りで堅牢に固められていて、横穴を作るのも不可能。出入り口は、二つしかない。宝物庫内の宝飾室と――」

 白手袋をはめた指が、赤い線をたどって広い部屋にたどり着いた。

「――王妃の寝室だ。この意味が分かるな?」
「内部犯か……」

 面倒なことになったと思いながら、レオンは椅子から立ち上がった。

「引き続き、調査を頼むよ。俺は、キャロルの縄をほどきに行く」