好き。好きだ。大好き。
 こう思う間にも、自分の『好き』と言った数字は、増えているのだろうか。

(口に出して伝えないと増えないのかな。俺の数字は、今どのくらいなんだろう)

 考えていたら、遠くから十二時を報せる鐘が聞こえてきた。
 レオンは、胸元に挿してあった薔薇を抜いて、キャロルに差し出す。

「こんな情けない状態だけど、受け取ってくれる?」
「もちろんです!」

 無事に、十輪目は花嫁の手に渡った。

 奪い取られるような勢いだったが、花びらは無事だろうか。
 助け出されたら、キャロルが本当に怪我をしていないかどうかの次に確認しようと思うレオンだった。