胸にふせて泣くキャロルの髪を、レオンは上から下へと撫でた。

「本当に痛くないんだよ。キャロルが無事でいてくれるなら」

 ランタンの火が消えて、一寸先も見えない闇に包まれる。
 胸元で震える小さな存在に、レオンの胸がきゅうと締めつけられた。

 喜ばせようとして、怖がらせてしまった。
 子猫のように高鳴った鼓動の速さを、どうにかして落ち着けてあげたい。

「大丈夫だよ、お姫様。あれだけの音だ。すぐに助けが来る」

 コクンと頷く彼女の頬に指をはわせて、手さぐりで額にキスをする。
 すると、「ひゃ」と可愛く鳴いたきり、泣き声は聞こえなくなった。

 きっと、顔を真っ赤にして照れているんだろう。
 これだけ近くにいるのに見られないなんて……いじらしくて、おかしくなりそうだ。