キャロルは、王城の一室に案内された。見事な庭が見下ろせる三階だ。
 暮れなずむ時間なので、咲いた花々や三連の噴水がふきだすさまを眺めるのは、明日までお預けである。

 外を見なくても、内装だけで十分に心がやすらぐ。
 部屋には、脚の曲線が美しいテーブルや椅子が置かれ、敷いた深紅の絨毯はふかりとしていた。
 飾られた花も白く楚々としていて、ほんのりと可愛らしい雰囲気だ。

「すてきなお部屋ですわね」
「気に入ってもらえて良かった。君のために作らせたんだよ」