その日の夜更け。

 丈の短いチェック柄のドレスを身につけたキャロルは、ベッドのうえに、ハンカチとクッキーとマフィン、紅茶入りの水筒、小さなクマのぬいぐるみを広げていた。
 大きめのバスケットに詰めていると、レオンが寝室の扉を通ってやってくる。

「キャロル。それは?」
「夜歩きの準備ですわ。宝物庫がどのくらい広いのか分かりませんが、お夜食はこのくらいでよろしいでしょうか?」

 なにせ、エイルティーク王国の宝が数多く保管されている部屋だ。
 キャロルの想像では、未開の洞窟のように広大なはず。休憩をとるためのおやつと飲み物は欠かせない。
 レオンと一緒に座るブランケットも必要だが、バスケットはもういっぱいである。

「ブランケットが入りませんわね……はっ! 滝があったらどうしましょう。雨合羽の用意もしなくては」