「――全てを打ち明けて謝ったの。けれど、レオンさまはお怒りにならなかったのよ」

 キャロルは、自室のバルコニーで紅茶を飲みながら、ガーデンテーブルの向かいに座ったタリアに話しかけていた。
 サイドカウンターには、レオンから贈られた九本の薔薇がある。いろいろと障がいはあったが、無事に九夜目までを終えた。

 あと三輪。
 三つ夜を越えたら、キャロルは王太子妃になる。

 大好きな人と結婚する日が、すぐそこに近づいていると思うと、喜びが湧き出して踊り出してしまいそう。
 だが、キャロルには、気軽にそうできないわけがあった。

「ねえ、タリア。どうしてわたくしは、人の『好き』と言った回数が見えるようになってしまったのでしょう?」