馬の横を歩いていたパトリックは、ふと後ろを振り返った。朝日が照らす道に誰もいないのを確認すると、再び前を向いて進んでいく。

 馬と犬が角を曲がって見えなくなると、黒い布にくるまって物陰に潜んでいた女があらわれた。

「……あの指輪か……」

 そうつぶやき、地面で砕けた水晶を手にとって、怪しく笑ったのだった。