寝室は、もぬけの殻だった。
 開け放された窓に近づくと、シーツで作った簡易ロープがウインドウボックスを支える柵に結ばれている。
 ロープは、階下のバルコニーまで垂れ下がっていた。

「どこに行ったんだ……」
「レオン、急に走り出してどうし――あのお転婆、今度は窓から脱走したのかーーーー!?!!!」

 遅れてきたセバスティアンの悲鳴が、深夜のシザーリオ公爵邸に響き渡った。