「そういえば、あの日のキャロルはおかしかった。人の頭のうえを見るなり、三ケタの数字がどうこうとか、愛の言葉も言えないのかとか、家が断絶するとか散々言われたぞ」
「数字?」

 レオンはセバスティアンの頭上を見たが、そこには何もない。
 自分の頭上も見上げたが、暗い天井があるだけだった。

「何もないけれど……。そういえば、俺も頭のうえを見られたな。それから、キャロルの様子がおかしくなった」

 一夜目の予行のために教会にやってきたキャロルは、先に着いていたレオンの頭上を見るなり、歓喜に満ちた表情でこう叫んだのだ。

『わたくし、レオン様から、そんなに『好き』って言われておりませんのに!!』