これまで頻繁に会いに来てくれていたが、キャロルが毒に倒れて面会謝絶になってからは、顔も見ていなかった。

 キャロルのことを『お姫様』と呼んでくれるレオン王子は、かっこよくて頼りになる男の子だ。
 もしも、他の女の子をお妃様にすることになっても、きっと幸せになれる。

 だから、心配はいらない。いらない、けど。

「さいごに会いたいです、レオンさま……」

 キラキラした金色の髪と宝石みたいな青い瞳の綺麗な王子様に、さいごに頭を撫でてもらったことを思い出したら、目尻から涙がこぼれおちた。

 はっと気がつくと、部屋が暗かった。
 眠っているうちに、真夜中になっていたのだ。