「何を勘違いしてんだか知らないけど、アタシが王太子と話したのは、これが三度目。恋愛相談は受けたが、デートをするような仲じゃない。ごろつきが出入りするような、城下町の安ホテルに滞在してるのは事実だけど、いきなり危険人物扱いは酷いんじゃないの。貴族令嬢だか何だか知らないが、アンタ失礼だよ」

「ニナの言う通りだ。こんな物言いをするなんて、君らしくない」

 レオンは、キャロルから体を離すと、ニナの方に手を差し伸べた。

「婚約者が失礼しました。何人も占ってお疲れでしょう。一度、休憩なさってください。こちらに食事を準備しています」
「ありがと。いただくよ」

 立ち上がったニナとレオンは、別室へ歩いて行く。