浮かんでいたのは、0。
 そんなことあるはずないと思って、きゅっと目をつむってから再度見てみたが、何度見ても、0。

 兄のセバスティアンですら三ケタはあるというのに、ニナは、人に一度も「好き」を伝えたことのない冷血人間だった!

「れ、レオン様……。彼女はいけません。その好きは一方通行です……!」
「落ち着いて、キャロル」

 背中をさすられてもなお、キャロルはニナが恐ろしかった。
 このままでは、レオンの恋心は利用されて、こっぴどく捨てられてしまう。

 ニナは、ヴェールを拾い上げて頭を隠すと、ふうっと息を吐いた。