「彼女は、都で流行の水晶占い師、ニナさんだよ。王妃が占いにはまっていて、俺も勧められて何度か見てもらって、悩み事の相談なんかもしている」
「レオン様が信頼するほど、凄腕なのですね……」

 並びの最後尾について、順番を待つ。
 占いは順調に進んでいき、やがてキャロルの番になった。占い師を真正面から見たキャロルは、挨拶も忘れて息をのんだ。

「お美しい……」

 ニナは、絶世の美女だった。
 褐色の肌はなまめかしく、細めの瞳は金色で、鼻先がツンと上を向いている。
 長く尖らせた爪や手首には宝石が貼り付けられていて、彼女自身が一つの宝飾品のようだった。
 レオンのとなりに立ったら、キャロルよりよほどお似合いに違いない。