寄り添って歩く二人に、招待客はうっとりと目を細める。

「本当にお似合いですこと」
「シザーリオ公爵令嬢は、未来の国母となられるにふさわしい方だわ」
「これでエイルティーク王国も安泰ですわね」

 賞賛は、シャンパンの泡のように、あちらこちらで浮かんでは消える。
 人がはけたホールの中ほどで、レオンはひざまずいた。見上げた先には、キャロルがいる。

「貴方に、七夜目の『情熱』を捧げます――」
「ありがとうございます」

 差し出された薔薇を両手で受け取ると、レオンは幸せそうに笑った。
 キャロルが彼の好きな人を見つけていれば、今頃は、その相手が笑い掛けられていた。そう思うと、胸がきゅうっと締めつけられる。