「愛してる……」

 レオンの頭上の数字は、すでに『∞』だ。
「好き」を言葉に込めても、数字は+1されない。

 だから、キャロルは、レオンからどんなに熱烈な言葉を贈られても、そこに好意が込められているのか分からない。

 自分だけ愛されていると信じたいのに、信じられない。

 キャロルは、寝台にひっくり返って、薔薇を胸に抱いた。

「数字が見えなければ、こんな風に悩むこともなかったのに」
 
 誰にも言えない体質になったことを、悲しく思うのだった。