緩んだ手を、レオンが包んで支えてくれた。
 おかげで、六輪目を落とさずにすんだけれど、近くにあるレオンの唇が目に入ってドキリとする。顔を見ただけで、こんなに胸が騒ぐのは初めてだった。

「俺の『愛情』、捨てないでね」
「捨てたりいたしません。大切にします」
「ありがとう。キャロル」
「はい」

 赤い顔で見上げると、レオンにぎゅっと抱きしめられた。

「遅い時間になってしまったから、くすぐるのは明日にするよ。ゆっくりお休み。それと……愛してる」

 そう言って悲しげに微笑むと、レオンは寝台を下りて自室に戻ってしまった。
 一人残されたキャロルは、キスされた目蓋を指でなぞって、レオンの言葉を噛みしめる。