「あなた、それ、どうしたの?」

 髪をまとめてフリルキャップを被ったタリアの頭上には、105,432という数字が浮かんでいた。他の侍女たちも、数に開きはあるが何かしらくっ付けている。
 キャロルは、自分がまだ夢のなかにいるのかと思って、頬をつねってみた。

「まあ、痛いわ……!」
「お嬢様、頬をひっぱるのをお止めくださいませ。今日は結婚前日なんですよ。レオン様にもお会いするのに、頬を腫らして行っては心配されてしまいますよ」
「ええ。でも、」

 その数字は何? 新種の髪飾り? 侍女の間で流行っているの?