「……キャロル、それは?」
「目隠しですわ」

 その夜、薔薇を持ってキャロルの寝室に入ったレオンは、驚いた。
 キャロルが、頭に布をぐるりと一巻きして後頭部で結び、目隠しをしていたからである。

「わたくし、見てはならないものを見てしまいましたの。タリアの、マルヴォーリオの、セバスお兄様の、パトリックの、そしてレオン様の、誰にも知られてはいけない大切なものを暴いてしまったのです。ですから、こうして反省しているのですわ」

 キャロルは、目を開けていると、嫌でも「好き」と言った回数が見えてしまう。
 レオンの『∞』だって、知ってはならない数字だった。