ううん、知っているわ。
 うっかり打ち明けそうになって、キャロルは口をつぐんだ。

 キャロルには、タリアが「好き」と言った回数が見えている。
 シザーリオ公爵家を出てから、タリアとマルヴォーリオがどれだけ愛を伝えあったのか、数の増え方で分かってしまう。

 その数は、気持ちは。
 本来であれば、伝えた当人と相手しか知り得ない、神聖なものなのに。

(わたくしったら、何て酷いことをしていたのでしょう)

 見えることにばかり気を取られて、見えてはならないことだと気づけなかった。
 キャロルは深く反省して、次にマルヴォーリオに会ったら、謝ろうと心に決めたのだった。