真夜中過ぎまで起きているせいか、シザーリオ公爵家にいた頃より遅起きだ。
 起きる時間にはすっかり太陽が昇り、ぽかぽかと暖かいので、ベッドを出るのが苦にならない。

 キャロルが起きると、支度部屋に詰めていた侍女が、いっせいに寝室に入ってくる。朝の支度をはじめるのだ。

 汲みたての水で顔を洗ったら、コットンに染みこませたローズ水でパック。
 ネグリジェを脱いだ体は香油で丹念にマッサージされ、ファッションショーさながらに次々と持ち込まれるドレスを選んで着替える。
 薄化粧をほどこして、ドレスに合わせた髪型にセットする。
 ここまでが、キャロルの朝のルーティンである。

 朝食の席にいくと、レオンが待っているので、スカートを持ち上げて挨拶する。

「おはようございます、レオン様」
「おはよう、キャロル。今日の体調はどう?」
「おかげさまで、すっかり元気ですわ」