「おやすみなさい、レオン様」

 寝室の扉を通って、自室に戻るレオンを見送ったキャロルは、花瓶に五輪目の『希望』をさした。 
 レオンから差し出された五つの誓いは、どれも瑞々しく咲き誇っている。

「風邪で伏せっていて、一日むだにしてしまいましたわ」

 こんな調子では、あっというまに十二夜目が来てしまう。
 五つでも胸が切ないのに、さらに七つももらったら。キャロルの心ははち切れて、レオンへの想いを抑えきれないかもしれない。

 別に好きな人がいると知っていながら、それでもいいと、レオンの求婚を受け入れてしまいそう……。
 弱気になってはダメだと、キャロルは首をブンブン振った。