レオンが言うとおり、幸せな結婚ができたかどうか、キャロル自身の目で確かめてから出立した方が安心できる。

「レオン様の好きな方が、わたくしが王都にいることで萎縮しないなら、戻ります……」

 キャロルは、むうっと唇をとんがらせて言った。
 決心がついたのは、レオンが好きな相手の顔を、ちょっとだけ見ておきたいというエゴの力もあった。

「では帰ろうか、お姫様」

 うすく笑ったレオンは、キャロルのお腹に腕を回して、片手で馬を走らせた。
 無事に王都にたどり着いたあと、待ちかまえていたセバスから大目玉をくらったのは言うまでもない。