パトリックが足を止めたのは、都の東にある自然公園だった。
 広い泉を囲むように青々とした芝生と遊歩道が調えられていて、まばらに生えた樹木からは小鳥のさえずりが聞こえる、市民の憩いの場だ。

 キャロルは、膝に手をついて乱れた息を整える。

「い、息が切れて死んでしまうかと思いましたわ……」
「おや、パトリックじゃないか」

 しわがれた声に顔を上げると、さまざまな犬を連れたおじいさん、おばあさんたちがいた。木の柵で区切られたドッグランのなかで談笑している。