本性を出したら、キャロルを怯えさせてしまうので、レオンは必死に紳士的な王太子を演じていた。
 バレたら洒落にならないのは、小部屋の中身も同じだ。

 レオンは、火を灯した燭台を持ち、カーテンを引いた。

 最奥には、キャロルの銅像が置かれ、壁には肖像画が飾られている。
 ガラスをはめた鑑賞棚には、彼女が刺繍を入れて贈ってくれたハンカチや直筆の手紙を、年代別に保管してあった。

 大のキャロル好き。
 これが、誰にも見せたくない、レオンの秘密なのである。