例えレオンがそれを望んでも、恋人がいるのに自分と優しいやりとりをしてはいけないと、キャロルの方から拒否するべきだ。

 キャロルは、彼が他に恋をしていると分かった時点で、彼から距離を置くベき存在なのだから。
 
 レオンの好きな人を知らなくては。でも、知りたくない。
 葛藤したキャロルは、ついに思い切った。

「もう、どうとでもなれですわ!」

 カーテンを引こうとすると、後ろから伸びてきた男性の手に手首をつかんで止められた。

「何をしているのかな?」