となれば、十二夜も三日目に突入しようとしている現在、彼の眠気は最高潮だろう。リラックスできる環境があれば、うっかり眠ってしまうに違いない。

 ひらめいたキャロルは、以前、王太子つきの侍従から聞いた話を思い出した。
 レオンは、眠るまえに水を飲むのだという。そのため、眠る支度の際に、寝室のチェストのうえに水差しを準備しておくのだとか。

(これを利用しない手はありません)

 キャロルは、レオンに罠を仕掛けた。
 その後は、悪巧みなんてしていませんといった風に、大人しく振る舞った。

 侍女たちは「キャロル様が、ついに十二夜を受け入れる覚悟をなさったわ!」と喜んでいたけれど、まったくそんなことはない。