掃除人の噂を真に受けたキャロルは、さっそく自室に戻って、レオンの寝室へつながる内扉を開けようとした。
 しかし、扉は開かなかった。あちら側から鍵がかけられていたのである。

 侍女に尋ねると、鍵はレオンが部屋にいる間だけ外されるという。
 当たり前だが、レオンが部屋にいたら小部屋探しは不可能だ。

 他の手段はないものかと、キャロルは考えた。

(レオン様は、わたくしに薔薇を渡すために夜遅くまで起きているし、朝は騎士団の任務のために早起きしていらっしゃる。昼もお仕事が忙しいのに、わたくしとのお茶の時間を捻出しているから、仮眠をとる暇もありませんわ……)