初耳の情報だ。キャロルは、レオンの居室や書斎の他、一度だけ寝室にも立ち入った事があるが、そういった場所を見た記憶はない。
 それにレオンは、プライベートスペースにキャロルが入ると、「もっと空気のいい場所で話をしよう」と中庭や温室にエスコートしてくれる。

 ――怪しい!
 と、キャロルは思った。

 レオンは、隠し部屋を気取られないように、足早にキャロルを別室へエスコートしていたのだ。
 そうまでして隠したい『アレ』とは、きっと『好きな人』の事だろう。

 城に仕えている人々が話してくれないなら、自ら探りを入れるまで!