「はぁ……ズリぃぞ菜々。なんなん?可愛すぎるんだけど……あのさ引かないで欲しいんだけど」



そう言って俊くんは私を抱きしめる
腕の力を緩めると両肩を掴んで引き離し
私の顔をじっと見つめる



俊くんが言おうとしている
言葉の先がわからず首を傾げる私



「そんなん過去だし、今は違うし、どうしようもねぇ……ってわかってるけど。今すげー那桜さんに嫉妬心いっぱいでどうにかなりそうだから……菜々の過去上書きさせてくれねぇ?」



上書きって……えっ?



一瞬ハテナが頭に浮かぶが
その意味を理解した私の顔は
一気に熱をもって赤く染る



「まぁ?菜々は俺のことが大好きみたいだから?もう問答無用で上書きすっけど。菜々に拒否権はねぇ」



こう、たまにでるドS俊くんも
愛おしくてしょうがない



拒否権なんて……そんなのいらない
俊くんに愛されている実感が欲しい



「いいよ、上書きして」



上目遣いで俊くんに懇願すると
彼はちょっと余裕の無さそうな
表情を浮かべて



「なに、その顔……ずっる。もう、無理……出来るだけ優しくすっから」



私を押し倒して唇に
激しいキスを落とす



そのキスが、今度は優しく私の
首と胸を啄んでゆく



「んっ……俊く、んっ……好き」



「俺も……菜々が好きだ」



なんて幸せなのだろう



もう私は兄に振り回されたりしない。



今、目の前にある幸せを
大切にしたいんだ



俊くん(あなた)と共にーーーーー。