だけど、那桜さんは目を伏せると


「ちょっと昔、いろいろあってね。俺は菜々に嫌われてるだろうから……あんまり話したがらないんだ」



ため息混じりに呟く。



「そうですか……。俺から話せることなんてそんなないっすけど、内倉とは専門で仲良くなったみたいっすよ。裕也は、内倉と付き合ってて、俺の友人なんで……最近よく4人でいる事が多かったりしますね」



差し障りなさそうな事を淡々と述べる。
正直、早く帰りたくて仕方ない……



「へぇ、君たちはいつから付き合ってるの?」



目が笑ってない不気味な笑顔で
ワントーン低く聞いてくる那桜さん


一体何なんだーーー?



「えっと……今年の夏からなんで、まだ1ヶ月も経ってないですけど」



「ふーん、そっか。ならまだ大丈夫だね。」



「え?」



俺の回答を聞くやいなや
ニヤッと口角を上げる那桜さん


大丈夫って何の話だ?
那桜さんは何を言ってるんだ……?


「それは、どういう……「なーくん!!」



俺が口を開いたのと同時に
それをかき消す那桜さんを呼ぶ声。


見上げるとそこには、菜々に似た
女性が立っていたーーーーーーーーー。